2015年7月27日月曜日

どうしておなかがへるのかな 『デッドリー・スポーン』

『デッドリー・スポーン』(1983年/ダグラス・マッケオン監督)
【あらすじ】
奴らは喰うためだけに生まれてきた!

突然ですが、皆さまは「おなかがへるうた」という童謡をご存知でしょうか。

どうして おなかが へるのかな
けんかをすると へるのかな
なかよししてても へるもんな
かあちゃん かあちゃん
おなかと せなかが くっつくぞ

「どうしておなかがへるのかな けんかをするとへるのかな」

まず、お腹が減ることに対して疑問を持つことは、非常に素晴らしい試みなのですが、「けんかをするとへる」という仮定は、ちょち唐突すぎやしないかと思う次第です。
そりゃ、喧嘩というものは体力を消耗するものです。ましてや、ここで述べている「けんか」が、拳と拳がぶつかり合う「殴り合い」の部類でしたら余計にお疲れになられるはずでしょう。
しかしながら、何も「けんか」をした時と限定して考えなくてもいいじゃないですか。
「けんか」をした時以外にだって、お腹は減るものですよ。
そもそも、どうして初めに「けんか」がお腹が減る原因だと考えたのでしょうか。
脳みそが一番初めに「それ喧嘩が原因じゃね?」という信号を送るだなんて。
この子はそんなによく喧嘩をするガキ大将だったのかしら。ジャ○アン?

「なかよくしててもへるもんなあ」

ほら、やっぱりそうじゃないの。よく考えてみれば分かることなんですよ。早とちりですよ。
何を今頃になって納得しているのですか。
というか、喧嘩するほど仲の良い友達がいて良かったね!大事にしなさいよ!

「かあちゃん かあちゃん おなかとせなかが くっつくぞ」

一体なにを言い出すのでしょうか。
いくら無理難題な疑問を抱えたからと言って、お母様に向かって「はらわたと背中の皮がくっつくぞい!」なんて言ってはいけません。
私はその子のお母様ではありませんけれど、だいぶ心配になりました。
いくら子どもだからと言って、お母様に心配かけちゃいけません!苦労をかけちゃいけません!親孝行しなさい!
『デッドリースポーン』のモンスターなんて、「どうしておなかがへるのかな」ということに対して疑問にも思いませんし、ましてや親御さんに心配なんてかけません!
『デッドリースポーン』みたいなたくましい子どもになってください!

ということで(どういうことで)、今回は『デッドリースポーン』について徒然なるままに書きつづります。
本作の特筆すべき点は、モンスターの最高にグロテスクなデザインだと思います。
大きく突き出た3つの頭には目がなく、がばーっと開いた口には鋭い牙がびっしりです。
文字通り食欲の塊で、とにかく喰って喰って喰いまくります。しかもものすごい繁殖力で増えまくります。
ワオ、なんて気持ち悪いのでしょう。でもその気持ち悪いほどの暴れっぷりが豪快で素敵です。
このモンスターのデザインが強烈で、今でも一部のファンからカルト的な人気があるらしいです。
実はあまりの出来の良さに『宇宙要塞からの脱出』(86年)という作品でそのままデザインをパクられたこともあります。
(ちなみにこの『宇宙要塞からの脱出』という映画は、『メタルストーム』の衣装とか『宇宙の七人』の宇宙船とか、堂々といろいろパクっていて楽しい映画です)

モンスターの暴れっぷりに反比例して、襲われる人間の方はマヌケで情けなくておバカです。
ぎゃーぎゃーと悲鳴をあげて、逃げ回っているうちにムシャムシャと食べられてしまいます。
容赦なく襲い掛かるモンスターに、何もすることができない人間たち……
ところが、そんな中でホラー映画好きのチャールズくんが立ち上がります。
彼は今まで観てきたホラー映画の知識を生かして、モンスター退治のために勇気と知恵を振り絞るのです。
これだからホラー映画を観るのはやめられません。

さて、お話をモンスターのデザインに戻しましょう。
まあ、あれですよ、どう見ても「チ〇コ」なわけです。
「い、言われてみれば……」なんて思ったそこのあなた、ホントは言われる前から分かってたくせに。
「おれには天使に見える」なんて言い出す奴がおりましたら、それこそお腹が減るまで殴ってやります。

(以下、「チ〇コ」と表記すると「〇」の中に「ン」を入れれば良いのか「ョ」を入れれば良いのか迷う方が続出すると思いますので、これより先は、男性の下半身から生えております突起物のことを「ザルドス」と呼ぶことにします)

しかし、『デッドリースポーン』のモンスターが「ザルドス」を思い起こさせる造形なのは、ちゃんとした理由があると思うのです。
『デッドリースポーン』の原題は『THE RETURN OF THE ALIEN'S:DEADLY SPAWN』というタイトルらしくて、つまるところ『エイリアン』(79年)のバッタもんなんですね。
『エイリアン』の大ヒットにより、たくさんの愛すべきバッタもんが産声を上げてきましたが、恐らくこの『デッドリースポーン』もその一つです。
そして、この映画がバッタもんしたのは、『エイリアン』におけるエイリアンたちのデザインなのではないでしょうか。
『エイリアン』でエイリアンのデザインを担当したH・R・ギーガーは、随所に「性器」をモチーフとしたデザインを施しています。
ビックチャップ(頭が長くてノッポな宇宙人)なんかは、もろに「ザルドス」を意識していることが分かります。
つまり「ザルドス愛」です。

では、『デッドリースポーン』のモンスターさんを、今一度じっくりとご覧になってみてください。


どうでしょう、ちゃんと「ザルドス愛」が感じられますよね。
色合い的に言えば、『エイリアン』でジョン・ハートのお腹をぶち破るチェストバスターくんに似てなくもないかもしれません。
でも、チェストバスターくんはすごく可愛いですが、『デッドリースポーン』のモンスターはやっぱり気持ち悪いです。可愛くはないです。
ということで、『デッドリースポーン』のモンスターが「ザルドス」っぽい、ちゃんとした理由でした。
だいぶちゃんとしてると思います。

「どうしておなかがへるのかな」
そんなことは考えずに、ただ食欲に身を任せて食べていればいいのです。
食欲=性欲。そう、ザルドスが暴れるがままに、喰えばいいのじゃい!
『デッドリースポーン』は「食」の大切さを教えてくれる素晴らしい作品でした。
ザルドスばんざい!

……嗚呼、血迷った。
血迷ってオティンティーンの記事を書いてしまっているではないかあああ!
じょ、女子から嫌われるブログにはしたくないんだよぉぉ(笑)


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